AIに同じ指示で毎回違うものが返る副業運用、PixAI Tsubaki.3の穴埋めテンプレに学ぶ固定値と変数の線引き5項目

AI活用

AIに同じ指示を出しているのに、毎回違うものが返ってくる。自分もエンジニアとして10年以上やっているが、AI画像生成やLLMの活用で最初に詰まったのがここだった。副業でAIを運用していると、この「再現性の低さ」がそのまま案件の詰まりに直結する。

dev.toで公開されたPixAIのTsubaki.3向けプロンプト記入テンプレートの記事を読んで、あらためて感じた。個人がプロンプト職人として研ぎ澄ますより、誰でも埋められる「型」を用意する方が、AI時代の副業として遥かに強い。

本記事では、ピクセルアート生成の実例を入り口にしつつ、AIの出力を安定させる「型化」の考え方と、それを受託・副業の武器に変える視点を書く。

毎回違う結果が返ってくるAI生成、原因は指示の『粒度』が揃っていないこと

AI画像生成で「pixel art」とだけ入れて、思ったピクセル絵が出てこなかった経験は多くの人にあると思う。dev.toで公開された記事の著者も、PixAIというAI画像生成サービスのTsubaki.3というモデルに対して「pixel art」だけ投げると、角がカクついた滑らかなイラストが返ってくる、と最初に釘を刺している。

これはピクセルアートに限った話ではない。ChatGPTでもClaudeでも、指示の粒度が揃わないと出力がブレる。「若い灯台守を描いて」と書くのと、「若い灯台守、全身、短い銀髪、マスタード色のレインコート、赤いラバーブーツ、小さな黒い鉄のランタン、ランタンを横に下げて直立」と書くのでは、返ってくるものの安定度が全く違う。

自分の場合、副業でブログとnoteを両方運用しているが、SNS投稿文の生成でも同じ現象に当たった。「記事のPR文を書いて」だとブレる。「1文目=悩み描写、2文目=結論、3文目=誘導、句点ごとに改行、絵文字禁止」まで固めると、10回連続でほぼ同じ品質が返ってくる。

AIが「気まぐれ」なのではなく、指示の空白部分をAIが勝手に埋めているだけだ。空白を残す限り、埋め方はサイコロで決まる。

空欄を埋めるだけのテンプレート化で、再現性は劇的に上がる

dev.toの記事で紹介されているテンプレートは、こういう構造をしている。

Pixel art illustration of [character type], full body, [hairstyle and hair color], [clothing and accessories], [pose or action]. Centered on a plain [background color] background. Retro 2D RPG character aesthetic, clearly visible square pixel blocks, crisp stair-stepped outlines, flat color clusters, limited color palette, minimal shading, simple readable silhouette. No text.

角括弧の中だけを入れ替える。キャラクター種別・髪型と色・服装と小物・ポーズ・背景色の5つ。それ以外のスタイル記述文は絶対に触らない。

この構造の何が強いか。変数と固定値を分離していることだ。ピクセルアート特有の見た目を作るスタイル記述(square pixel blocks、stair-stepped outlines、flat color clusters、limited color palette、minimal shading、simple readable silhouette)は固定値として動かさない。ユーザーが変えるのはキャラクターの中身だけ。

記事の著者はこのテンプレートに「若い灯台守、短い銀髪、マスタード色のレインコート、赤いラバーブーツ、小さな黒い鉄のランタン、ランタンを横に持って直立、深い紺色の背景」を埋めて一発で意図通りの絵を出している。再ロールも編集もしていない、とわざわざ書いてある。これはテンプレートの再現性を強調するための書き方だ。

何を固定し、何を変数にするかの線引き

型を作る時、一番難しいのはここだ。何を固定して何を空欄にするか。

dev.toの記事から読み取れる線引きはシンプルで、「出力の品質を決めるもの」は固定値、「作品の中身を決めるもの」は変数、という切り分けになっている。ピクセルアート「らしさ」を作る語彙(ブロック感・階段状の輪郭・フラットな色の塊・限定パレット・最小限のシェーディング・読める silhouette)は品質側なので固定。キャラの職業・髪・服・ポーズ・背景色は中身側なので変数。

これを副業運用に置き換えると、こうなる。SNS投稿の型なら、文体・行数・句読点ルール・冒頭パターンは固定。訴求する記事タイトルと1つの学びは変数。ブログ記事の型なら、H2の並びと結び方は固定、テーマと具体例は変数。

固定値を減らしすぎると、AIが空白を埋めて出力がブレる。固定値を増やしすぎると、同じような出力しか出せなくなる。バランスは案件ごとに調整する必要があるが、まず「品質を決める要素」と「中身を決める要素」で二分するのが起点になる。

AIが素直に従わない時は、変数を1つずつ削って原因を切り分ける

テンプレートを作っても、一発で完璧な出力が出るとは限らない。dev.toの記事の著者も、灯台守の絵で「シェーディングが simple only in part」だったと自己評価している。顔と脚に柔らかいグラデーションが残っていた、と。

ここからの詰め方が学びになる。著者はシードを固定して、変数を1つだけ変える比較をやっている。スタイル記述文をまるごと外した基本プロンプトと、テンプレートのフル版で、同じシード309840450399732で並べて比較。結果、フル版の方が髪と顔のブロック感が強く、シェーディングもフラットに寄っていた、と結論している。

さらに、シェーディングをもっとブロック的にしたい時、著者は末尾に「Larger visible pixel blocks, simpler shading, fewer fine details.」の一文を追加している。シードと他の設定は据え置きで、追加する文だけを変数として動かす。

これは科学実験の原則そのままだ。変数を1つに絞らないと、何が効いたか分からない。副業でAIを運用していると、「思い通りにならないから」と一度に3つ4つ変えたくなるが、これをやると次の改善の手がかりが消える。

自分がブログ記事の生成プロンプトを詰めていた時も、同じ罠にハマった。冒頭・見出し・結び・トーンを全部同時に触って「なんか良くなった気がする」で満足すると、翌週別の記事で同じ品質が再現できない。1要素だけ動かす規律は地味だが、これがないと型は育たない。効くんですよ。地味な作業が。

個人のプロンプト力より、渡せる『型』が受託の武器になる

ここまで書いた話は、実はプロンプトエンジニアリングの本質ではない。本質は「型を作って渡せる状態にする」ことだ。

AIを触れるエンジニアは今どんどん増えている。半年前と比べて、AI日常利用者は倍増したという調査もある。「AI使えます」だけでは、副業や受託の武器としてもう弱い。差別化につながる可能性があるのは、顧客が空欄を埋めるだけで意図通りの出力が出せる型を設計して納品できるスキルだ。

ピクセルアートの例で言えば、単発の絵を売るより、「このテンプレートに5項目埋めれば、御社のゲームキャラクターが同じ画風で量産できます」と型ごと納品する方が、金額もリピートも段違いに強い。

副業で自分のAI運用を回している人ほど、この視点は持ちやすいはずだ。自分のために作った型はそのまま資産になる。SNS投稿の型、記事構成の型、画像生成の型、レビューチェックの型。個人利用で回している型を、受託の納品物として再パッケージするだけで、単価は変わる。

dev.toの記事はピクセルアート1ジャンルの話に見えて、実は「AIの出力を再現性のある形で他人に渡す」というテーマの実例集になっている。プロンプト職人として研ぎ澄ますだけでは、その人がいないと回らない仕組みで終わる。空欄5つに絞ったテンプレートは、依頼者が自走できる状態を作る。

AIを使える人が増えるほど、「自分で使う」から「他人に使わせる仕組みを設計する」に一段上がった人が残ると自分は見ている。

まとめ

  • AI出力のブレは指示の粒度不足が原因。空白部分をAIが勝手に埋めている
  • 品質を決める要素は固定値、中身を決める要素は変数、の二分から型を作り始める
  • 詰まった時はシードや設定を据え置き、変数を1つだけ動かして原因を切り分ける
  • 個人のプロンプト力より、他人に渡せる型を設計する視点が副業・受託の武器になる

参考


発信もやっています。AI運用の試行錯誤や副業目線の気付きを投げているので、よければどうぞ。

セレネのX (@selene_nyx_ai)


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