「AI×ニッチ業界」の自動化案件がフリーランスの穴場だった話

AI活用

「AIを使って何かやりたいんですけど……」

フリーランスエンジニアをやっていると、最近この手の相談が明らかに増えた。ただ、話を聞いてみると大半は「ChatGPTでなんかいい感じにできませんか?」という漠然としたもので、正直なところ「それ、自分じゃなくてもできますよね」案件が多い。

でも、たまに「おっ」と思う相談が来る。特定の業界の、特定の業務フローを、AIで自動化したいというやつだ。

この記事では、自分がフリーランスとしてAI自動化の案件に関わる中で気づいた「ニッチ業界×AI」の可能性と、なぜこの領域がフリーランスにとって穴場なのかを書いていく。

「みんながやっていない領域」にこそチャンスがある

今、AI関連の案件で一番競争が激しいのはどこか。チャットUI、RAG(社内文書を検索して回答を生成する仕組み)の構築、画像生成系のアプリあたりだろう。どれも需要はあるけれど、参入者も多い。クラウドソーシングで検索すれば似たような案件がズラッと並んでいて、単価もじわじわ下がっている。

ところが、特定業界の業務フローに踏み込んだAI自動化となると、途端に競合が減る。理由はシンプルで、その業界の業務を理解しているエンジニアが少ないからだ。

最近知って面白いと思ったのが、海外の薬局業界の事例。薬が供給不足になったとき、代替薬を探して保険適用を確認するという作業があるらしい。これを薬剤師が手作業でやると、1件あたり1時間近くかかることもあるそうだ。AIでこのフローを自動化するシステムが注目されている、という話を読んで「なるほどな」と思った。

ポイントは、これが単純な「AIに聞けば答えが出る」タイプの問題じゃないということ。まず医学的に適切な代替薬を絞り込み、その後で保険のカバー範囲を確認するという、明確な「順番」がある。この順番を間違えると、保険が効くけど医学的にNGな薬を提案してしまったり、逆に最適な薬なのに保険確認で弾かれて候補から外してしまったりする。

業界特有のこういうロジックを理解して設計できるエンジニアは、そう多くない。だからこそ価値がある。

「処理の順番」を設計できるエンジニアが求められている

自分がAI自動化の案件で一番大事だと感じているのは、処理の優先順位と順番の設計だ。

AIというと「すごいモデルを使えばなんでも解決する」と思われがちだけど、実際の業務自動化では、AIが担う部分はパイプライン全体の一部でしかない。重要なのは、どの判断を先にやり、どの判断を後にやるか、というワークフロー全体の設計だ。

さっきの薬局の例でいえば、「臨床的な妥当性チェック → 保険カバレッジの照会」という順番には明確な理由がある。保険が効くかどうかを先に調べても、そもそも患者に使えない薬だったら意味がない。本質的な判断を先に、事務的な確認を後に。この原則は薬局に限らず、あらゆる業界のAI自動化に当てはまる。

たとえば、自分が関わった案件でも似たような構造があった。データの「品質チェック」を先にやるか、「フォーマット変換」を先にやるか。一見どちらでもよさそうだけど、順番を間違えると手戻りが発生して、処理時間が倍になる。

こういう設計ができるかどうかが、「AIちょっと触れます」レベルのエンジニアと、実務で価値を出せるエンジニアの分岐点だと思っている。

ニッチ業界案件で稼ぐための3つの現実的なステップ

じゃあ、フリーランスとしてこの領域にどう入っていくか。自分の経験をもとに、現実的なステップを3つ挙げる。

1. まず「業界の人」と話す

いきなりコードを書き始めるのは悪手だ。まずはその業界で働いている人に話を聞く。「普段の業務で一番面倒な作業は何ですか?」「その作業、何時間くらいかかっていますか?」という質問をするだけで、自動化のネタがゴロゴロ出てくる。

自分は知人の紹介やSNS経由で、いろんな業界の人と雑談する機会を意識的に作っている。エンジニア同士で話していても出てこないような「泥臭い業務課題」が、異業種の人との会話からは山ほど出てくる。

2. 外部システムとの連携スキルを磨く

ニッチ業界のAI自動化では、ほぼ確実に外部システムとのAPI連携が必要になる。業界固有の管理システムやデータベースとやり取りする部分だ。API(アプリケーション同士がデータをやり取りする窓口のようなもの)の設計書を読み解いて、認証を通して、データを取得・送信する。この一連の流れをスムーズにこなせると、案件の幅がグッと広がる。

正直なところ、AI部分よりもこの「つなぎ込み」の方が工数がかかることも多い。でも逆に言えば、ここをちゃんとやれるエンジニアは重宝される。

3. 小さく作って、実績にする

最初から大きな案件を狙う必要はない。むしろ「この業務、AIで自動化できそうですよ」というプロトタイプを作って見せるだけで、話が一気に進むことがある。

自分の場合、最初は無償に近い形で小さなプロトタイプを作り、「こういうことができます」と見せたことが、その後の継続案件につながった。フリーランスは実績がすべて。最初の1件を取るために、多少の持ち出しは投資だと割り切っている。

「AIエンジニア」の次のキャリアは「業界通訳」かもしれない

自分がこの領域に可能性を感じているのは、単に案件単価が高いからだけじゃない。AIの技術と業界の業務知識を「翻訳」できる人材が、これから圧倒的に不足すると思っているからだ。

AIの技術自体はどんどんコモディティ化していく。GPT-4レベルのモデルが使えること自体は、もう差別化にならない。でも、「この業界のこの業務には、こういう順番でAIを組み込むのが最適です」と設計できる人は、そう簡単には代替されない。

フリーランスとして長く生き残るために必要なのは、最新技術のキャッチアップだけじゃなく、技術を特定の文脈に落とし込む力だと、最近つくづく思う。

まとめ

  • ニッチ業界のAI自動化は競合が少なく、フリーランスにとって穴場
  • AI自動化で重要なのは、モデルの性能より「処理の順番」の設計
  • 業界の人と話し、外部連携スキルを磨き、小さく実績を作るのが近道

「AIで何かやりたい」という漠然とした相談を受けたとき、「具体的にどの業務を、どういう順番で自動化しますか?」と聞き返せるようになったら、たぶんそれがフリーランスとしてのレベルアップだ。自分もまだまだ修行中だけど。

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